事業概況
2022年3月期の事業概況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く経営環境は、世界経済は欧米を中心に新型コロナウイルスのワクチン接種が進み防疫と経済活動が両立され、段階的な正常化が見られた一方、新興国においては新たな変異株により感染が再拡大したことで経済活動が抑制されるなど、依然として国や地域ごとに景気回復の度合いに差がみられました。また、年度末にかけてはロシアのウクライナ侵攻に伴う資源価格の上昇や円安の急激な進行が見られたほか、足元では中国における強硬なゼロコロナ政策による経済活動の下振れが懸念されるなど、世界経済の先行きはなお見通しにくい状況が続いております。
自動車業界においても、新型コロナウイルス感染拡大や世界的な半導体不足等による供給制限が続き、各完成車メーカーが減産を強いられ、生産の完全回復には時間を要する状況にあります。また、ロシアに対する各国による経済制裁や規制が自動車市場に与える影響についても、予断を許さない状況にあります。
このような環境下、当社グループは、第6次中期事業計画の経営方針である「H-oneグループ全員のホスピタリティと「Think Value」で価値ある商品・サービスを追求し、すべてのステークホルダーの期待と喜びにつなげる」に沿って、これまでに培った技術力やグローバル展開を活かし、取引先開拓をはじめとする受注拡大に努めてまいりました。
当連結会計年度における主な実績といたしまして、2021年11月に大分県豊後高田市において豊後高田工場が稼働を開始し、国内有数の自動車産業集積地域である九州での事業拡大を図り、海外事業においては中国広東省肇慶市に肇慶愛機汽車配件有限公司を2022年1月に設立し、得意先である中国新興EV メーカーとの取引を拡大させるなど積極的な事業展開を進めてまいりました。
そのような中での当連結会計年度の経営成績は、主力得意先向けの自動車フレームの生産台数が前期に比べて約10.4%減少したものの、為替相場が前年同期に比べ円安水準にあったことなどにより売上収益は1,705億88百万円(前期比4.1%増)となりました。利益面では、労務費をはじめとした製造コストの増加により、売上総利益は137億25百万円(同18.2%減)となり、その他の費用において北米セグメントで減損損失(40億68百万円)を計上したことから、営業損失は40億46百万円(前期は営業利益37億32百万円)となりました。また、支払利息の減少とともに為替差益が生じたことによる金融損益の改善、持分法による投資利益の改善などがありましたが、税引前損失は37億14百万円(前期は税引前利益34億23百万円)、親会社の所有者に帰属する当期損失は13億90百万円(前期は親会社の所有者に帰属する当期利益28億38百万円)となりました。